会員の方へ
精神科病院等の虐待防止に関する4団体の共同メッセージ
2025年3月31日 [事務局]
精神科病院での患者虐待については、40 年前の宇都宮病院事件(1984年)が精神障がい者への重大な人権侵害として国内外の批判を受け、それを契機として、任意入院制度や精神医療審査会制度など人 権尊重の視点を盛り込んだ精神保健法への改正がなされ、その後も法改正が重ねられてきました。
しかし、近年も全国の複数の精神科病院での患者虐待事件が報道されるなど、今もなお、精神障がい 者の人権が守られない状況が続いています。
2024 年4月の改正精神保健福祉法では、精神科病院での虐待防止対策が強化され、虐待やそれが疑 われる事案を発見した際の通報義務、虐待相談窓口の設置や職員への教育等の虐待対応への仕組みづく りが始まりました。
今回の法改正による虐待防止対策が、現場で実効性を伴い、繰り返される精神障がい者への人権侵害 の現状を変えていくためには、島根県の精神科医療にかかわる専門職が虐待問題を「我がこと」として 認識し、他職種と連帯して、精神障がい者への人権侵害防止の取組を共に進めていく必要があると考え ています。
そこで、島根県の精神科医療にかかわる職能団体である日本精神科看護協会島根県支部、島根県臨床心理士・公認心理師協会、島根県作業療法士会、島根県精神保健福祉士会の4団体は会員の皆様へ精神障がい者の虐待をはじめとする人権侵害の防止について、以下の共同メッセージを発信します。
・精神科病院での患者虐待事件を、他の都道府県で起こった出来事と捉えるのではなく、 精神障がい 者への人権侵害は、私たちの身近にも起こり得る問題として、誰もが「我がこと」と認識しましょう。
・所属する部署や組織の仲間と虐待や虐待の芽について、話し合える風土を他職種と共に作り上げていきましょう。
・精神科医療の現場で起こる虐待の背景として、専門職の抱えるストレスの問題にも目を向け、私たち 一人一人のメンタルヘルスも大切にしましょう。
参考:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳」 (https://kokoro.mhlw.go.jp/)
・所属する職能団体や他団体で実施されている虐待防止に関する取組を共有しましょう。
例: (一社)日本精神科看護協会 「精神科医療現場における虐待防止に向けた取り組み」 (https://jpna.jp/policy)
(公社)日本精神保健福祉士協会 「精神科医療にかかわる精神保健福祉士のための虐待予防チェックリスト」 (https://www.jamhsw.or.jp/ugoki/hokokusyo/202406boushi-reaf.html)
令和7年 4 月1日
日本精神科看護協会島根県支部 支部長 坪倉 功子
島根県臨床心理士・公認心理師協会 会長 和田 葉子
島根県作業療法士会 会長 小林 央
島根県精神保健福祉士会 会長 貝谷 昭